発行 | JICC出版局 |
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著 | 手塚一郎 |
発売日 | 1989年7月 |
価格 | 951円+税 |
判型 | B5判 |
ページ数 | 256ページ |
書籍コード | ISBN4-88063-571-5 |
ファミコン必勝本(のちにHIPPON SUPER!と改名)の編集長だった井上さんは、かなりムチャな(というか無謀な)人で、「小説家の友だちなら小説が書けるだろう」などと言い出しました。その結果、書いたこともない小説をいきなり連載させられることになりました。それが、この「最後の竜に捧げる歌」です。わざわざ書くまでもないのですが、件の小説家とはベニー松山くんのことです。彼が小説家であるのは異論のないところですが、その友だちだから小説が書けると、井上さんは本気で考えていたのでしょうか? 謎です。
最初にご連絡をいただいたときには「『ウルティマ』の小説を」とのリクエストでしたが(当時は国内でパソコンに『ウルティマIV』が移植され、わりと盛り上がっていた時期でした)、小説にしてもおもしろくなりそうにないことを説明した結果、「それならオリジナルでもいいや」(投げやり)ということになりました。
そんなわけで、当時好きだった、ラリー・ニーヴンの「ガラスの短剣」や「魔法の国が消えていく」に影響を受けまくった「最後の竜に捧げる歌」が連載されることになったわけです。
物語のメインテーマは、世代交代です。ここでは竜が滅び、世界が人間のものになるという過程が描かれています。「神(というか大いなる権力者)」というモチーフは、ぼくのなかではものすごく興味のあるもので、いまなお、飽きもせずに(というか、しつこく)追求しています。